自分だけが不幸だと思っている。自己中でひとりよがり、ダサくてコンプレックスだらけで自己評価が低いくせに、それゆえに他人に厳しく、一方的かつ上から目線のおしゃべりがウザい。空気読めない。ひとの気持ち読めない。やることなすことが周りの人間に迷惑をおよぼす。いやな気持ちにさせる。そんな主人公、ネイディーンに、99%の観客はこの映画を観ている間中、イライラさせられっぱなしになります。
ネイディーンは、ある夜、自分の蒔いた種による、ある決定的な出来事を経験し、そこで人生に大切なあることに気がつくのです。
その時、観客も、老若男女を問わず、いえきっと、主人公と歳が離れていればこそ、自分の人生のなかで、少なくともある時期、ある瞬間には、自分の中に、ネイディーンがいた、そのことに気がつき、ネイディーンを愛おしく思うことになるのです。